こ…これは 桃ですか?
そんなことを 訊いてみたくなる
昨日の 青春18きっぷ 道々の おとも本
『雪と珊瑚と』梨木香歩 著(角川文庫)
梨木さんの
言葉の選び方も
流れも
優しげな 手触りの裏側に 奥に
確かなるものへと繋がる 毛細血管のような
根っこのような
息づく脈があるのが 好きだ
身体感覚を 重たくなく
上っ面でなく
確かな知識も ひけらかすでなく
支えている
するん と 滑るように入り込んだ 物語の入り口から
次第に 浮き彫りにされてゆく それぞれの 人の心持ちのかたち
そこへたどることになった 過ぎ去ったいきさつも 次第に 裏打ちされて
立体的に 現実味を帯びてくる
力のある食べ物たちが
出逢いが
それぞれの 登場人物に 注がれて
しみわたって
いかされてゆく
滋味という言葉を 思う
読んでて 幸せだった
毎年 夏
山形から 尾花沢西瓜を 売りに来る おんちゃん
西瓜を 買う係りは 大抵 わたくし以外だったもんで
顔を よっく覚えてはいないのだけど
拡声器から 聴こえてくる 声色とか リズムが
耳馴染み
あぁ きっと いつもの おんちゃんだな
駆け出して 玄関から顔を出したら
「あぁ♪」と 一瞬 うたうように 応えて
道を 曲がって来てくれた
「毎年 買ってもらってるおんなぃ(かってもらってるよね)」と
でっかくて いいとこ おまけしてくれた♪
去年は 父か 兄が 買ったかもしれないけど…と言ったら
「去年の春は おれ 大腸癌 切ったがら 無理しねぇで 角田さは 一回ぐれぇしか 来ねぇがったんだ」とな
今は 腸「快腸」だそう
よかった…
うちの父も 大腸癌 切って 今 元気でいますし~とか
いつも 西瓜で 飛び出してた 母 倒れてしまったこと
でも なんとか元気で この間も おんちゃんの声 聴こえたからはやくかってきて!て 頼まれたのに 出遅れて 逃したこと
「むがいのかあちゃんは なじょったい?(お向かいにすんでるおかあちゃんはどうしてる?)」と 不在がちの おむかいさんへの 気遣いに 近況など ひとつ ふたつ伝えたり…
名前もよくわからぬまんま
でも 長年の お馴染み
なんか そんな距離感も いいもんだね
西瓜っ腹の おんちゃん
またきてね
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