昨日の 青春18きっぷ 道々の おとも本
『雪と珊瑚と』梨木香歩 著(角川文庫)
梨木さんの
言葉の選び方も
流れも
優しげな 手触りの裏側に 奥に
確かなるものへと繋がる 毛細血管のような
根っこのような
息づく脈があるのが 好きだ
身体感覚を 重たくなく
上っ面でなく
確かな知識も ひけらかすでなく
支えている
するん と 滑るように入り込んだ 物語の入り口から
次第に 浮き彫りにされてゆく それぞれの 人の心持ちのかたち
そこへたどることになった 過ぎ去ったいきさつも 次第に 裏打ちされて
立体的に 現実味を帯びてくる
力のある食べ物たちが
出逢いが
それぞれの 登場人物に 注がれて
しみわたって
いかされてゆく
滋味という言葉を 思う
読んでて 幸せだった