2015 年 8 月 16 日 のアーカイブ

「小坊主」

2015 年 8 月 16 日 日曜日

「明日 小坊主 来っから 応接間んとご 片付げどげよ」と

うちの仏壇は 

丸森の じいちゃん本家の お墓のある 遊仙寺の坊さまに 拝んでいただいとるですが

じいちゃん 存命の頃 

来てくださってた 坊さまと じいちゃんは 仲良しで

拝んだあと 一献 傾け 酌み交わし

むかしの 四方山話 あれこれ 長々と 楽しき 宴に突入しとったものでした

…な もんで

いらっさる時間は 締めの時間…てなあたり

ばあちゃんとしては「あの坊主 来っと 長ぇがら…」と 苦笑いしながら

すべての仕事を かたづけとかねば…と 奮闘してたっけな

んで その次の代の 「婿坊主」

んも うっとりするような 謡いのようでもある お経

初めて 拝んでいただいたときに

家族一同 声に出さずとも 驚愕の表情で 聴き惚れた

ある日 わたくしが ごしゃごしゃと 飾り置きしとった ジャズやブルースのレコードに目をとめて

「おっ これは ○○の初盤の復刻ですね」なんてな マニアックな話など 振ってこられて

いやいや 詳しくはないんすけどね と 返したら

いつも 拝んで 二杯のお茶が 三杯ともなり

そういや 仙台の 路地裏的な ジャズ喫茶でも 坊さま 見かけたっけな…あれやっぱり 浅野さんでしたか!などと…

いつしか 音楽談義 恒例となって

母から「あの坊さま あんだ いねぇと さっさと帰るのよ」(わたくしがいないときは 拝んで すぐに帰られたとか)

などいって その 美声やら 音楽好きやら 際立つキャラクターを 面白がらせていただいとりました

角田に 仲良しの ナイスピアニスト 延原にいちゃん 呼んで ライブやったとき

来てくださったんだよなぁ

ありがたい♪

んで あの美声ですで

きっと 引っ張りだこの 大忙し

ここ数年 デビュー果たした その 息子様が 来られるようになったのでした

出来立てほやほや 

坊さま衣装の「顔出し」的 馴染まなさ…

初めて来たとき わたくしおりませなんだが

母ったら「今日 拝みさ 来たの『小坊主』だったんだよ!」と 報告してくれましたっけ

「小坊主」って あんた…と 呆れたものの

確かに… 

そののち お目にかかって 

その初々しさに つい 納得しちゃいました

とうちゃん 譲りの 美声…でも まだ やわやわとしてて すこぅし 早口な感じ

お経にも 個性があるのねぇ なんて 思いつつ…

檀家の人々の 失敬な 値踏みやら あれこれに 揉まれたり 越えたりして

小坊主さまの 人となり キャラ立ちが 色濃くなってゆくと

「小」も 返上されるのかしら などと

やはり 失敬なこと 思いながら

朝の珈琲など 淹れて 一息

穏やかな 盆の締めの朝