それぞれで手いっぱいだとしても

世界は わたくしどころでなく

わたくしは 世界どころではなく

それぞれが

それぞれのことで 

せいいっぱい

手一杯

それでも あえぎあえぎ

手をのばし

ふと 指先に 触れて

世界は わたくしで

わたくしが 世界であることを

思い出す

そうだ

のばす先でなく  

ここにも あるんだ

うちに かかえこんでいたような思い

ぐるりと 裏返しになる

懐きて

懐かれている

目先の 繕い物などして

縮んでいた わたくし

鞄を裏返して

隅にたまった 塵を 摘まみ出しながら

日に晒されていない

むしろ鮮やかなることを 思う
   
ぱたぱた と

胸のうちの 塵もはらって

さてと と

顔を あげたりもして…

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