花束を

わたくしのちからではどうしようもないのだ

去りゆくと決めた人の背中は

見送るばかりなのだ

さびしいのですよ

残っていてほしいのですよ

なにかできることはありませんか?

なんどか なげかけたことばは

「もとめてくれてありがとう そのきもちだけがいままでささえになりました」という 微笑みで返された

はればれとさえしているひとの前にたって

距離は変わらないのに

どんどん はなれていくちいさくなっていく気分

行く人は むしろ晴れがましいものであるのだよな

引き算されるがわの

なつかしくもせつない おいてけぼり感

じわじわと 心身に しみわたっていった

なんとなく 顔があげられず

うなだれてあるく あしもとに

ふと ひかり

すみれたんぽぽたねつけばな

ここで咲き続けて 繋いでいるのだね

ここで見送るわたくしも 

そんな風でいようかね

なんだか 花束みたいなすがたを

しゃがんでじっと見ていたら

すこぅしだけ 気持ちは 落ち着いたよ

そうだね 花束だ

花束を贈ろう

旅立つ人へ

そして

おいてけぼりの こころに

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