月明かりの下 名前を呼ぶ

何事もなかったように

朗らかな 声色と

軽やかな ことばを

転がしてみる

ことばの波が 引いてゆくと

そこには 湿った 砂浜みたいな 胸のうち

あぁ また 泣くのか わたくしは

拳を握ってみる

涙が せりあがる 寸前に とまる

「哀しい」とは

「涙」とは

一握りくらいの 力の 行き来なのかな?

なんて 他愛ない

そして そんなものに 呑まれている自分は

もっと 他愛ない

可愛げってことに しといてやる

そんなこといって また 拳など 握って

月明かりの下

名前など 呼んでみる

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