『きみは知らないほうがいい』

「哀しい」に 呑み込まれないように と

なにか それを 凌駕する 物語を くれ…と 思った

しばらく 物語を 読みたい気持ちも 薄れていたくせに…

今は 気持ちをもてあましているから

気持ち自体を 呑み込んでしまってくれ と 思った

そこで 大事大事に 眺めるばかりで 

飾り物みたいになってた『きみは知らないほうがいい』岩瀬成子(いわせじょうこ) 作/ 長谷川集平 絵(文研出版)を 携えて 出掛けた

あぁ この 懐かしい 「集まりの中での 違和感」

言うに言えないままに 薄い膜に 覆われていく感覚

違和感を 抱えていることを 認め 見つめない方が 生きやすいかもしれないのに…

題名の『きみは知らないほうがいい』というのが 発言された場面は また 違っているのだけれど

うっすらと はみ出してしまうこと

はみ出さずにいられる人の本音のこと

「ほんとう」は 知らないほうが 生きやすいかもしれないよ なんて 言ってるみたいでもある

早々と 感受してしまった人

それを受け流すわけにはいかない と 知ってしまった人

生きづらい思いを 言葉に繋ぐことで 

それを 誰かに受け渡すことで 救われてゆく

小学生社会で よくあること

でも このよくあるなかで ここまで 繋ぐことができたら どれだけの人が 救われるだろう…と 思ったりして

岩瀬さんの 描写 掬い上げかた 比喩の織り成し…ぐっときましたる

もともと 絵の 長谷川集平さんが 

ご自分の関わった本を紹介なさったことで 知ったわけですが

この物語を 読み込みつつ

擦り寄り過ぎず 甘すぎず

そして 走り描いたようでいて 陰影の妙で心持ちが 鮮明に 立ち上がるような

それでいて 揺れている 入り込む隙を 提示してくれるような 挿絵

表紙と 中表紙の 響きあうあたり

…やはり 好きだ

お年頃の 感受性豊かなる おこたちに ぜひ よんでもらいたいなぁ と思う

そして そんなおこたちに かかわりあいになる おとなたちにも…

主人公の 女の子と 飼い犬の 通じ合いで

ちみっと 現実の ぴちの 不在のあたりに 引き戻されて 涙にじんだりしたものの

ひととき どっぷりと 心身を

物語世界に 浸してくれた

抜け出たときに なにがしかの 余計ものは 流してくれたろうか?

まぁ そんな 早々に気持ちが なんとかなるわけ ないんだけどさ

それはさておき

とても よいっ♪と

力込めて 言いたくなる本でした

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