庭・点景

やっとこさ 蕗の薹

瞼が ひらかない

夢とうつつの 間っこみたいなかんじ

めんこいのぉ

猫柳

もう お帽子 ぬいでも 大丈夫みたいだよ

そんなこと 呟いた 矢先

ふわり と 吹く風に

帽子 飛んでった

ひかり 浴びよう

もうそこには いないのに

あなたと 見たもの

空も

木々も

草ぐさも

一緒の 一瞬が よみがえる

懐かしい声と

あのときの思い

飴色に 日焼けた 写真の中

でも

思い出は むしろ

その時よりも 鮮やかになりながら

ずっとずっと 

息づく

越冬人参

どうやったら その 鮮やかさのまま

寒さの中を 越えてこられるのだ?

教えてくれろ

人参という みてくれよりも

足を生やして 

歩き出さんとす なんにゃらかのような ありさま

いつもだ うちのにわの 人参たら…

いいぞいいぞ

「土になんて 還らないさ」と 言われても

ついつい 土のところに持っていってしまう

いわば うちの 貝塚的なところ

茶碗の陰に 

目覚めかかった 虫らが おった

まだ 送られてないぞ 

おつとめちゅう 欠け茶碗たち

おおぉ 静かなのに 

いのちたちの 待ち構えた じゃわめき

もすこししたら おいでおいで

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