いのちをおもう

薄暮れ

いい頃合いは 橋のど真ん中

でも 帰りの ラッシュ

止まるわけにはいかんね

…なもんで

本日も 夕焼け方面に 曲がって

空き地に 停車

あぁ なんて 溜め息つきながら 遮るもののないあたりへと

斜面降りる

あたりは いのちの気配に 満ちているのに

そばにいたはずの いのちが 見当たらないことに

未だ 慣れることができないでいる

また 涙なんか にじんだ

すると 足元に 動く陰

あっ 雨蛙だ♪

迷惑承知で 手に乗っける

逃げられる

また 乗っける

すまんすまん なんて 言いながら

その ぺたぺたした 皮膚の感触と

接するほどに 近づいて 瞳の ひかりを 楽しませてもらった

田んぼに向かって ぴょっ と ひとっとびして いってしまった

あぁ そうなんだよな

もともと わたくしの 手のなかになんて

他のいのちを つかまえておくことなんか できないんだ

自分の いのちさえ

知らぬうちに預かって

いつ どうとも 知れぬままに

おしいただきて 生きているだけ

そのなかで ふと ひととき 触れあって

そして はなれてゆく

そんな日々

一瞬前よりも

ほんの ちみっとだけ

なにかが 腑に 落ちて

うん またね と

どこへともなく 言ってみる

涙 ふいたら

また 帰り道を ゆこう

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