春の夜の匂い

湿った 石の表面とか
花のとか
土とか 
草とか
見えないけれど 息づいているものたちの匂いが
柔らかに とどく
あの 真っ暗すぎる夜から
そう日が経っていないような
もう 遠い日のような
どちらにしても 季節のめぐり
きっと いいところへ向かっていけるね
向かっていこうね と
夜露で 満たした胸のうちで 思う

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