柊匂う夜風

ひいらぎかざろう金木犀ほど 花も目立たぬし
クリスマスリースとして葉っぱは 有名だけれど
あまり 話題にも上らない 柊の花
垣根にありがちの深緑 
気をつけなければ そのちくちく葉に気付かぬことも多いかも
いま ぺたりと はりつくように 甘やかに 漂う
とかく匂いは 視覚よりも聴覚よりも 記憶の奥底に沈んで
思いの根のところに がっちりと結びついて
その匂いに出会った瞬間に 思いまで ふいに浮上して
足元を掬われるような思いになることがある
この優しい匂いに 哀しく切ない思い出が 結びついていなくてよかった
ゆっくりと 心静かに 鼻から吸い込むことを 楽しんでいられる

コメント / トラックバック 6 件

  1. あしゅりん より:

    もう散ってカリカリになったはずの金木犀の香りが漂うので、もしやと思い見てみれば、枯れかけた花に混じって金木犀の蕾がまた出ていました。
    ここのところ再びの暑さが続いていたので、金木犀が勘違いしたようです。
    東京で柊の花が咲くにはもう少しかかるのかしら。

    • bunbun より:

      花々は 季節がどうとかよりも「おっ いい感じの空気 よっしゃいくかぁ!」なんて 動き出すんでしょうね。
      この間 庭の藤の花が咲いちまったのには 驚きました
      東京は 春の花は 1、2ヶ月早く咲いて 晩秋の花は 遅めですかね?
      夜露ひんやり空気の中に 漂う 柊の香りは うっとりしちゃいますね

  2. akaru より:

    哀しく切ない思い出が、実は…。では?

    • bunbun より:

      ふふふふ akaruさま
      柊は 幸いにして 切ない思い出に 結びつくようなことはございませんで。
      ひところ 針槐(はりえんじゅ・ニセアカシア)の 甘い香り
      まるで 八木重吉の 「花がふってくるとおもう 花がふってくるとおもう このてのひらに うけとろうとおもう」状態には よれよれになりそうでしたが
      感傷に浸ってみたかっただけかも・・・と最近では思いなおしています。

  3. akaru より:

    だれもが一度は八木重吉にハマるのですね。
    わたしもハシカのように読み耽った時期がありました。
    西宮にも詩碑があって、一度取材記事を書いたことがあります。

    • bunbun より:

      もう たくさんわすれてしまいましたが
      八木重吉の かざらない そのままの ことば まなざしが
      斜に構えてすかした わたくしの 立ち方を
      もう少し力を抜くと良いでしょう と
      やわらかに 言葉をかけてもらっていたような気がします

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