思いがけない傘の色

思いがけない色の 傘をもらったことがあって

その場しのぎに 買ったのだろうけど

取り繕うように

「似合うと思うよ」なんて 言われて

ほんとにそんなこと思ってるの?とか

こういうの 似合う感じが 好きなのかな?とか

あれこれ考えたりもして

いやいや でも そんな深い意味などないのだろうな と

深く考えるのは やめにして

ありがたく 使おうと思いつつ

服の 色合いにも

気持ちの 彩りにも

どうにも今一つ そぐわない気がして

出しては 仕舞い

仕舞うにあたって うまく畳むこともできず

そのまんま 部屋に かけといたりして

そんな 半端な始末が 申し訳ない思いでいた
 
そんな思いも 忘れてしまっていたのだけれど

昼下がりに 見かけた 昼顔の 蕾で

ふと その うまく畳めない傘のことを 思い出した

部屋で

うっすら 埃を被った 傘

ま しかたないやね と

風景として 眺められる 今

あの頃 ちょっとは 初々しかったのだな なんて 思う

そんな始末のまんま 生きてゆくのも

あるんだよな

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