あのときの熱

何も言わなかったのに

あのとき

目の奥に

互いに 

引き寄せようとする

注ぎ込もうとする

熱が

色が あったのだ

そんな 一瞬は 

まるでなかったような 今だけれど

それぞれで また 咲かせ

結びながら

時おり ふと 振り返り

やはり そこに あのときに似た 目の色があり

そうして

交わす ことばに

指先で 触れた ひとときを 

浮かべて 

包み隠す

まるで 蒸し返さないことが

次また 会えることの 約束のように…

そこで 咲き

結ぶだけが

うんめいのであい では ないのだと 

知った風なことを ひとりごちる

歳を重ねたものだな などと 

うれしいような さびしいような

一人を 抱く 夜

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