『詩の寺子屋』

お江戸の行き帰り

何冊か携えていった 本たち

うたた寝も挟みながら

久しぶりに 味わいつつ読みましたる

その中の一冊

和合亮一さんの『詩の寺子屋』(岩波ジュニア新書)は

分かりやすく 実践的 ハウツー物の 体裁でありながら

紹介される詩も(他のかたのものもあれば 和合さんのものもあれば お子たちのものもあれば…)素晴らしくて

例題を繋ぐ 言葉どれをとっても

軽やかだけれど 浮わついていない

虚勢を張らない

暮らしからの 実感

しっかりと 重みと 温かみとがあって

すとん と 腑におちてくる

震災後の 福島にまつわるうたは

きりきりと 食い縛る 歯軋りまで聞こえてくるようで

それを 人に刃を向けぬ きれいなことばにしていて

しかし だからこそ 余計に 真っ直ぐ 胸の奥まで 貫かれてしまう

どう頑張っても 今でも 涙が出てしまう

現場にいて

現場に耐えて

越えながら なお 現場を愛し続ける人のことば

だからこそ お子たちの 作品の紹介も かぎりなくやさしく そのかたちに 共感し 添いながら 

掬い上げて

救い続けてゆくのだろう

待ち焦がれて買った 和合さんの詩の本 何冊か

実は まだ読んでいないものも多い

待ち焦がれていたくせに こわかったんだ

その 嘘の無い美しさに照らされて

己の 薄汚れ具合が 明るみに出るのが…

でもまた ちゃんと 目を開いて読もうと思う

ことばを 掬い上げること

思いを 見つめること

澱みを

凝り固まりを 解さねばならぬ今

隠し扉の奥まで 刺し貫かれて 目を覚まし

照らして さらして

またそこから 踏み出さねばならんのだから

わたくしも 腹をくくる

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