雷雨

雷雨
遮るものもないところで 出会うならまだしも
家のなかにいるのだから
何一つ 困ることなどない
ふとしたはずみで
昔のことなどたずねられ
置き去りにされた 異国の町で 一人震えて眠った夜も 地響きのするような 雷雨だったなんてことを
思い出す
今やもう遠い海の向こうの 雷鳴でしかないのだ
かなしむことなどおそれることなどなにもない
過去の悲しみが 未来のすべてを支配するなど
それほどのちからを持った出来事など あってたまるか
寧ろ それを 胸のうちの地に埋めて
貪欲な 成長バクテリアに 食わしてやれ
すべてを肥やしに
想いの種を 芽吹かせよう
強がりでなく そう思える今
メタセコイアの種でも 蒔こう

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