草ぐさに 思う

いたたまれなくなったりもしながら

にげもかくれもしないで

たっていようか

おなじあさひうけて

ほぅら

おなじいのちだ

すずめのてっぽうが さいたよ

おなじ ぢびたの 上で

あさつき

立派な 根っこだったもんで

全部 食べきらずに 

窓辺コップに 挿しておいた

…らば

鱗茎 お肥りになってきました

おおおぉ 

土に お引っ越し願うかな

ほら 朝露の珠の中に

世界がまるまって

すべてここにありますよぅ なんて

たまげるほどに 美しくて

珠の中に 転がるように 呼び込まれて

あるいはもう とっくに その中に入り込んでいるみたいで

どこにいるかも

どうでもよいくらいに

なってるとこに

「洗濯するんだったよね 風呂のお湯 残しといたよ」と あんちゃの声

ふぁぁ ただいま なんつって

呼び戻してもらった 気分

のんきな お休みの日の朝

静かに 葉っぱ毛布にくるまっていた

覗いたら

身じろぎした
 
その みどりの姿

今はもう 懐かしい思い出になった人に似ていた

動じないふりして

ほんとは 揺らぎたくなかったんだよね 

一人でやっていける という 支えと

強がっているんだ という 思わせ振りを

持て余していることに 

気づかれてうろたえて

近づくほどに 自分の忘れたい 痛みを 思い出させられる…と

つけこまれたくない…と かたくなになっていった 可愛い人だった

今は 静かな気持ちで 思い返せる

…なんてね

ほんと 虫見て 人を思い出すなんざ

失礼千万だろね

悪気はないのよ

直接言うことなんてもうないのだけどさ

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