生命力

蓄えられたものもなかったような

細い細い根から

ゆっくりと

水面へ

ひかりへ

のびあがってくる

蓮葉

そう まだまだ これからだ

のびる

ひらく

ひかりを受く

はじまる

庭の隅っこの方が

ぞわぞわざわざわと 力強い 葉擦れの音で 満ちていることであろう

音としては 捉えられないものの

わたくしの 蝸牛のその奥の

わずかな振動のようなものをとらえる 脳細胞が 共振する

いのちいのちいのち

蕗の命 吹き上げる

あぁ どうかそれを分けていただけまいか と

へりくだり

藪へと分け入る

みずとつちとひかりと もしくは放射能まで

己で養えぬ身を

世界からいただいて つないでゆく

そのお返しは まだまだできていないのに

ナミアゲハ

柚子の木に

くりん♪と ひかりのたまを とめてくれた

あとから もうひとひら ひらり

ひらりくるりひらりくるり

重力なんて しらないみたいに

空気に うかんで まわる

そこいらに わたくしの おもいも うかんでゆく

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