春の魔法

土から筆を いただいた
何を 描こうか

「あの棒がほしいの」というので
拾って手渡したら
えいっ えいっ やあ~♪と
つぼみもまだ 膨らんでいない 桜の木に向かって
一ふり 二ふりしていた A ちゃん
もしかしたら あさってあたり 咲いちゃったりして
それほど 迷いなく 揺るぎなく ふっていたの
なんか 悔しいくらい…
本気で 秘密のアッコちゃんみたいになろうと
鏡に向かって 呪文を唱えていたのに
いつの間に ひたすらひたむき…を 諦めてしまったのだろう
どうせ…なんて 知ったふりしてさ
もしかしたら…の 気持ちは ほんとはまだ 隅っこに いるんだよね
ちょっと また 連れ出してこようかな…と 思えるほどに
まっすぐな A ちゃんの 魔法にかけられたのは わたくしかもしれない

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