古い帯から

みどりこさんの 揺り籠に 使った 真綿
どこからとったかと言いますと
古い 帯の中から
帯芯と 表の布がずれぬように
温かさを 懐くように
そっと うっすらと 広げてあるもの
紙撚れば 絹糸になる その 儚げな 繊維が
ひっそりと 目にも触れることなく そこにあったことを 知ったとき
あまりの 美しさに 目眩がしたのだったよ
これを ここへ まとわりつかせた 手は
何を思っていたのだろうか と
遥かな ときを遡る

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