軽やかに 階段をあがってきた
もう 2度と そんな姿を見ることはないと 思っていたのに…
あぁ よかった やっぱりそうでなくちゃ と 手をとって喜んだ
待てよ これは夢だ と途中で気づいた
でも 目を開けなければ
この夢のなかで 目を閉じなければ
この姿は続くのだろうか と 抱き寄せた
背中の感触が 確かにあった
ほら ちゃんとある…
でもそれは 昼間 さすった母の背中の感触の 名残だった
夢のなかでは泣いていなかったのに
目覚めたら 泣いていた
どうなろうとも 受け入れる…と 思うものの
ふたたびの 軽やかな足取り
諦めたわけではないのだよ
直接 どうにかできる力がない自分が
もどかしいだけなんだよ