匂い刺激

あんなに 食べることが好きだったのに

食べたいものが浮かばない てのは

まぁ 心身 弱っているということもあるのだろう

治療というよりは

悪くならないように とか

体力がつくように…の 胃瘻による 経管栄養と

からだを起こすリハビリ的なことに終始している

食べたい気持ちになる 環境でないのは確かだ

よく見えない

聴こえづらくなっている

…でも 匂いは 嗅げるかな?

お襁褓だとか 薬だとかの 匂いを越えて

お喋りしながら

気持ちを呼び覚まして

美味しそうな匂いなど 嗅いでもらえたらどうだろう?

そういう部分の 刺激は

カンファレンス的なときに 一言も出てなかったし

毒にはならんであろうかな?と

勝手に 香り刺激プロジェクト

こっそり やってみる(通りかかった リハビリのかたに その旨 ちょいとお話ししたものの「ん~ 先生に 確認してみますね」というような お返事)

大好きだった あんぱんや 大福の話をしたり

今夜は 天婦羅にしようかと 思うんだけどさ~ なんて

あれこれ お喋りして

ぽっけにいれていった キリンのパンやさんの おやきパンの 袋を

鼻に近づけてみる

匂いわかる?

どう?と 訊いたら

「んまそうな においだ」と 掠れ声

おぉ♪

んまそう て 思えるの いいぞっ♪

布団に入れっぱなしの 手を 両方とも 出してきた

くれってことか!?

すまぬ 今は 食べさせらんねぇげんとも 栄養とって しっかりげんきになったら なんぼでも 食えるようになるからさっ と

引っ込めた

どう繋がってゆくか わからないけど

いつもより 眼差しに 力 宿った 気がした

「おかさんは?」て 母のこと 気遣うようなこと 言ってきたりして

おおぉぅ♪

いいぞいいぞ

これが 続くわけでないとしても

いいこと 重ねていこう

今度は どんないい匂いのものが いいかなぁ?果物かなぁ?

季節の 柚子など 浮かべる

胸のうち 柚子色に 明るむ 思い

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