とんぼさまと

走行中 フロントグラスの ワイパーのとこに

ふいっ と とんぼが とまった

すぐ 飛びすさるかと 思いきや

かなりの距離 そのまんま

思わず 速度を いつもより ゆるめてしまう

あまりに そのまんまなもんで

ひっかかって とれなくなってるとかあるのかな?と

停車して 見てみた

手に受けても 飛ぼうとしない

もうだいぶ 生ききった感のある

前肢 一本 失った姿

そうか

もう どこかへ!と 飛び急ぐ必要はないのか

でも わたくしの 手の中よりも

野の方がよかろう

留まり掴まる力もなさそうだけど

のげしのあたりに 乗っけた

またね

また 別の形でね…

手を振った

羽が震えてた

それが別に どうということでもなく

風の仕業なのだろうけど

時折 ふと

胸のなかで

あの日の 震えが よみがえる

確かに 出逢った いのちの 思い出

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