初々しい恋人同士みたいに

先週土曜は

母と さなおばと 共に

父の病室を訪ねた

お熱 下がってきたとはいえ

視線定まらぬような 感じ

声をかける

目が泳ぐ

からだに触れる

焦点が 絞られてくる

今日は 母と さなさんときたんだよ~!と 耳元で 改めて 伝える

ゆっくりと 母のおる方へ視線向けて

ふわりと 左手を そちらへ 差し伸べた

「おとさん!おとさん! わがっかい?五十鈴だよ 早ぐ いぐなってね 待ってっかんなぃん!」と

父の 手を 握る 母

母が動かせるのは 右手なので

左手と 右手

ちょっと 握りなれてない 初々しい恋人同士みたいに

時々 ベッドの手すりに ぶつけたりしながらも

ずっと 繋いだまんま

ゆんゆん ゆすってた

何十年もの お互いの 日々

通じ合うものが

今できる すべてを持って いい方へ 流してくれるといい

頼むよっ!

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