
ばあちゃんが 植えていた 薔薇は
何種類もあったはずなのだが
今や たったひとつ
手をかけぬもので
幹は 大分傷み
しかし へろへろしながらも
丈ばかりはぐんぐんと 空へ向かい
今や 梢は 手の届かぬ程になっておる
歌みたいに ♪たったひとつ 咲いた薔薇は 小さな薔薇で♪
気づいたときには もう 散りかかってた
いいんだ
人になど見せず
咲けよ
香れよ
虫らをよろこばせてくれよ
負け惜しみめいたこと言いつつ 仰ぐ
朝からあれこれと動き
へとへとして
ちみっと 不機嫌になったりもしてた 今日
でも しばし 仰ぎ見てるうちに
われしらぬとこに いきもののよろこびいとなみあったのだものな それもまたよし だよな いつかはこちらにもまたすぐにめぐってくるさねよろこびは…と 思ったら
なんとなく こわばりがほどけていって
虫の羽音ほどの よろこびが 波及したように
ふるるる♪ なんて
鼻唄ともつかぬ 音が 漏れ出た
梅雨あけたらしい
晴れていこう
ふるるる♪