帰り道
信号待ちで ふと見上げたら
老人ホーム兼ねたマンションの一室のカーテンが開いて
ご婦人らしき影
しばらく 身動きせず見下ろしているようだった
ふと とうに 逝ってしまった ばあちゃんを思い出したり
その見下ろしている方の 今日一日は 楽しかったのだろうか
何を今思っているのだろうか…なんてなことまで 考えていたら
ばかのように はたはたと 涙が出てきてしまい
信号を いくつか見送った
こんど明るいときに また 見上げてみようかな…なんて あてのないことをおもっているうちに
カーテンは閉じられた
いくつめかの 青信号で 歩き出した