
感じるに 任せておけばよかったのに
もうおしまい なんて
蓋を閉めてしまった
フェンスをたてて
もういかなくってもいいや なんて
決めてしまおうとしたのだな
未練はないのに 残る 痛みなんて
ただの あわあわとした 感傷で
いつかは さっぱりと消えてくれると
思っていた
日常生活に 支障がでない程度に
痛みなどは ほとんどなくなって
なのに すこぅしだけ
その思い出に まつわる花の咲く頃に
疼くものがあって
花に罪はないのに
まとわりつく 靄のようなもの…
そんなこんなが 解消できずにいた頃
花の香りを 吸い込んで
感傷に よろめいて よよ とでも 泣いてみたかった ある日
窓の向こうから吹く
花の風を 嗅ごうとしたら
それを塞ぐように
薫ってきたのは
それまで苦手だった 男物の香水
思わず噎せて
でも 笑ってしまったのだったな
紛らせてもらえて
そんなんもありだね なんて
踏み出せたのだよね
花にまつわる 思いを
そうして ぬりかえ
ぬりかえして
あるいてきた
もう少し なんてことない 色合いに なるとよいな
フェンスを越えて
蓋を 開けに行こう
もはや 盛りを過ぎて
熟れすぎた 果物のような
すえたような 甘さになってしまっているけれど
まとわりつく靄が
どれだけもう今の日々に かかわり合いのない 幻であるかを
もしくは その 不定形の不安のおかげで 越えようとしたこともあった ありがたさを
あらためて 受け取ってみようと思う
はなのあめにうたれてしんでしまわなくてよかった
もっと 胸の奥から
からりと笑って
うたうようにいきていく