「しんちゃん」の お店『しかいろ』

たみおば 若かりしころ

雄勝で 先生をやっていて

全国の先生が集まる 研究授業(音楽)をすることになり

それはそれは 張り切って

お子達にも いつも以上に お歌の指導をしていたときのこと

誰よりも 張り切って目をキラキラさせて歌っている ○くんが 飛びっきりの 調子っぱずれ

その声さえなければ すんばらしい ハーモニーなのに…と

おばの 心に ふと 魔がさして

「○くん 次 ちょっと やすんでてくれないかな」と 言ったとな

はじめ ? であったものの なんとなく 事情察して 目に涙をためながら 頷いた ○くん

しまった と 思いながら「素晴らしい」指導の結実 授業をせねば!で 頭 ぱんぱんだった おば

先へ進めようとしたとき

「先生 ○くん一生懸命歌ってんのに おがすぐねぇが?なんで休まなくてねぇのや?」と 声をあげた子がいた

学級委員の「しんちゃん」

その声に クラスのみんなも んだんだ と 声を揃えた

人気者でもあったらしい「もりたみせんせい」

きっと いつもと違う 空気を お子達は 感じ取ってもいたのだろうな

そこで おば ガツンと 殴られたような思いで目を覚まし

「ごめん!先生が間違ってた みんなでうたおう」

必死になりすぎて

「よりよく」の意味を履き違え 見えなくなっていたことを あやまって

再び みんなで のびのびと うたった と…

「今 喋っても 涙出る…あのとき『しんちゃん』に言ってもらわなかったら 勘違いしたまま 暴走してた 言わば 恩人なんだ『しんちゃん』は」

何度か聞いた話だけど

やはりわたくし も 涙出る

震災ののち 消息調べて 何十年ぶりかに 連絡がついた『しんちゃん』は

被災のため

雄勝でやっていた お店を ひきはらい

石巻市内の 内陸部で 再び お店を開いたそう

ご近所さんだけでなく

かつてのお馴染みさんも 訪ねてきて 賑わっているようす

京都出張の折りに 再びその話きいて

そのあとすぐに 石巻仕事だったもんで

こりゃ ぜひ 訪ねてゆかねば と 駆けつけたのですが

スープなくなって 終了…でした

はやってるってことだな

なんだかうれしいな

こんどまたあらためて 行こうと思う

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