いでし 穴へと

新芽は葡萄色だったね今まで どこにその身を 置いていたのか
最後のひと鳴きを 引き取った後も
ひっそりと この地の上にて 何かを みとどけていたのか
きっと この野葡萄の木のあたりから
出てきたのだろう
葉が茂り 
葉が落ちて
新しい芽が出るころに
また穴へと 帰っていくようだ
土に還って
また日々を見届ける めに なっておくれ

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  1. akaru より:

    もう何年も前の新聞投稿欄の詩に、セミが鳴いている、それを、地面の耳(セミの抜け穴)が聞いている、という意味のがあったのを思い出しました。

    • bunbun より:

      聴くことと 蝉・・・なんとなく ご縁を感じています
      以前作って お買い上げいただいた立体作『去り行く音 苔むす記憶』は 板に 私の耳を彫って 蝉の絵なども描いたものでした
      買ってくださった方は その作品を見て 安房直子さんの童話(耳鳴り・蝉・夏の公園がでてくるのです)を 思い出されたとか
      今年は もしかしたら 何年ぶりかで 蝉の声を聴くことが出来るかもしれません
      気をつけないと 泣いてしまいそうで どきどきです 実は

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