穴は埋めずに

9年間 お母様の介護をなさっていた方からの 便り
先日「亡くなりました」と 
介護自体も 大変に苦しい思いをされていたけれど
亡くされたことによって べつの「苦しい」が やってきたようで
もしかして とてもとても 繊細な心を持つ 生真面目な方だから 
ご自分を 何かと 責めてしまっておられるのだろう
ああ わたくしには 何もできないのですがね
でも 意気消沈から一ヶ月ちょっとして こうして 葉書を下さったということは
きっとまた 歩き出すきっかけを摑む 心の握力は 蘇ってくるはず
穴を 急いで埋めなくてもいいんだ
亡くなった方は もう いらっしゃらぬのだから 
同じもので埋めることなどできぬのだから
たまに気を紛らわせるのは 必要だけれど
それで 埋まったと勘違いすると
後で 目を逸らしていただけだったことに気付いて 愕然としたり
穴に躓いて 思わずまた 転んだりする
だから 穴を認めて みつめたり
時には あちこちべつのところを眺めたり
ゆっくり深呼吸して
草花の種でも植えてみたりして
心のんびりさせているうちに
穴に 美しい水がたまって
きっと 暖かだった日々の 思い出が 水面に映って
安らぐ日々が訪れるはず・・・と 信じたい
ICUで お母様の「顔をなでながら 36時間 唄いつづけた」という その優しい 声で
また 多くの人たちの心が 柔らかになる歌を 届けてほしいと 願っています

コメント / トラックバック 2 件

  1. akaru より:

    年老いたのでしょうか、こういう話にakaruの涙腺は緩んでしまうのです。

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