車に 紛れ込んだ 蜘蛛一匹
ここには 御馳走なんかこないよぅ と
外へ 出した
あれは なんか月前のことだったろう?
あのあと
ふと気づいたら
フロントグラスの 内側に
あの子の置き土産
うっすら 蜘蛛の糸の
ちぎれ ちぎれ 貼り付いているのがあった
光の当たる角度によって
虹色に存在を浮かび上がらせて
それはそれは きらきらしくうつくしくて
拭き取ってしまうのが惜しくて
あれからずっとそのまんま
獲物をとらえられぬときは
光を捕まえて 空腹を紛らせているのだろか なんて
なんのやくにもたたないことを 思い浮かべたりもして
また うっとりと 見入ってしまうのだよ