また 手をのばす

包み込むような言葉をくれて

ほやほやと のぼせて

その胸に飛び込みたくもなったけれど

わかっている

あなたが広げたのは

思いを乗せたにしろ

言葉の翼だけで

腕を広げて わたくしを抱きとめる気などないことを

そんな閉じた胸へなど 飛び込むものか と

自分を大事にするふりをして胸を閉じ

しかし投げかけられた言葉の先の 胸のうちへの糸口を手繰り

途切れぬように 

あなたの好きな色を ひかりを 言葉を縒りあわせて

放り返す

飛びつくふりをしたり そ知らぬふりをしたり

そんなこんなに一喜一憂するわたくしの姿をみて

これは戯れに過ぎぬと 笑う

足場は揺るがぬと 高を括る その余裕の微笑みを 突き崩そうと

いつしか 罠の 縄綯いのようになっていた

もともとは 震える蜘蛛の縦糸のようなものであったのに…

手に汗と縄を握り続けることにつかれて

手放して気づく

疲れたこの身を だきしめてほしい と

また あなたへと手をのばす心持ちに

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