遅いのだとしても

遅いか遅くないか…とにかく できること
より良い道を 考えねば

母 はとこ 森まゆみさん 投稿より

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もっと早く動くべきでした。「上野公園グランドデザイン」検討会報告の他、2013年には「上野「文化の杜」新構想」が文化庁と芸大主導で立ち上がり、冒頭、、下村文科大臣は「オリンピックの文化プログラムの受け皿になるもの」と期待しています。

委員は各博物館・美術館館長と行政、寛永寺、JR、京成、営団地下鉄、観光連盟などのトップで、これが住民や都民を無視したトップダウンのものであることが歴然としております。上野公園で生まれ育ち、40年間、「不忍自然観察会」を主催しておられる植生の専門家、小川潔学芸大名誉教授などをメンバーにお招きしていないのは、
開発に反対する人は入れたくないのでしょう。

冒頭、青柳長官(当時)は「2代将軍秀忠の時代は,北東が鬼門ということで寛永寺が上野にできた。そして寛永寺を起点として,人が集う施設が徐々に作られていった」宮田芸大学長(当時)は「東大は明治10年に開設されたが,当初は「上野の山」も,キャンパスの有力候補だった。上野全体の敷地面積は53万平方メートルで,現在の東大とほぼ同じである。ただ,上野は吉原に近く,学生の勉強に支障を来す恐れがあったため,現在の本郷にキャンパスを構えることになったそうだ」などと間違った歴史を述べています。

そして今1100万人の上野公園来場者を3000万人にしたい。と言い出します。
そのためには「アメ横は,年末の5日間で200万,1年で1000万人の来訪者があり,時期により大きな差があるもの,大きな集客効果が期待できる場所である。これらの人々を,上野の施設に取り込めば,3000万人という目標も,十分に達成されるのではないか」(青柳長官)というのですが、アメ横で鮭を買った人が上野の美術館に行くでしょうか?数さえ多ければいいというのでしょうか?西洋美術館が世界遺産になったからといって団体で前庭に入り込み写真をバシャバシャ撮ってクラーナハ展を見ないで帰る人も来場者数に数えるのでしょうね。
中にはこういうまっとうなことを発言された委員たちもいます。

◆昔は遊びの空間,ほっとする空間が,今以上に上野公園に存在していたように思う。街のけん騒から逃れて公園に憩いを求めて訪れる人々のことも考える必要がある。現在は,公園も整備され,小奇麗なカッフェテリアもできて,休みする空間もあるが,全体的にみると,もっと人々が散策し,憩えるような自然があってもいい。
「上野の杜」の「杜」というのは,憩いや木漏れ日といった状況を内包しているが,「森」は木がうっそうと生い茂った感じはある。しかし,より自然を感じさせ,人々を癒やす効果もあろう。
つまり,歴史と伝統のある上野の山だけに,多くの人を呼ぶに越したことはないが,公園としての本来の役割を踏まえつつ,公園自体及び各文化施設はそれぞれの活動を,調和をもって進めていく必要がある。

◆私が日本学士院に入った頃は,学士院の前にある寛永寺の門に銃弾の痕跡があった。また今でも五重塔が見えるなど,地域全体が様々な歴史の舞台であったことを物語っていた。現代の文化芸術施設だけではなく,歴史も踏まえた環境全般を鑑みて上野の発展を考えていく必要がある。自然環境に関する具体例を申し上げれば,上野公園にフィットした植物(樹木や花)を考慮するのも良いのではないか。

◆日本芸術院には,明治時代以降の著名人の美術作品がたくさん残されている。これらを活用して,上野を盛り上げるお手伝いができればと思っている。

◆上野学園は,明治37年に曾祖父が創立し,音楽を中心とした学園である。幼少の頃から上野動物園に連れていってもらうなど,上野の杜には昔から縁があるが,以前は,もっと子供の声が聞こえる場だったような気がする。このプロジェクトを基に,子供たちや家族連れがもっと気軽に訪れることができるような上野地区になってほしいと願っている。

ところが結局こちらの意見↓に押し切られてしまうのです。

◆上野地区全体を活性化させようという会議であるからには,大きな目標を持った方が良いのではないか。例えば,「上野の山全体を世界遺産にしよう」といった壮大な目標でも良いと思う。上野には美術品の集積もあり歴史もある。国内外においてそのような地域は,ありそうでなかなかない。今後具体的な議論を進めることになるワーキンググループでは,是非次の3点を話し合いたい。まずは,導線・交通アクセスについて,東博と上野駅を地下で結ぶ,京成電鉄博物館駅の復活,東博と藝大の間の道路の撤去,などにより人の往来を活発にさせる方策を議論すべきである。次に,施設建ぺい率についてであるが,現在は様々な規制があるが,もっと柔軟・臨機応変に建築できるようにする方策について議論すべきである。

となってしまい、数々の方針がワーキンググループによって報告されています。WGはほぼ、副館長クラスが参加していますが、どうせ事務局であるコンサルの案に賛成しているだけでしょう。
報告には「創意工夫あふれた巨大モニュメントなどの規制を排する」「公園口から各施設への地下通路を作りショッピングモールを作る」「景観に配慮したホテルを作る」などとも言い出しています。

博物館動物園駅の再開、
障害者に優しい上野に
託児施設を設ける
休館日を月曜日だけにしないで分散させる
共通パスポートの発行
園内の車道を規制して歩行者優先にする
芸大生が街に飛び出る

などには賛成できます。でもこれはリップサービスでしょう。
大道芸や一人ミュージシャンも私は好きです。芸大のカルテットもいいでしょう。それがお上が指示・計画したものでなく、個人の自由な表現であってほしいです。芸術とは自由な心の叫びで、権力とか規制とかとは元々反するものです。
谷根千とも連携し、と言っていますが、谷根千のまちづくりは環境と歴史を大切にする人々の住民運動で、それによって自然に来訪者が増えてきたものです。行政が何らかの努力をしたとは言いがたく、こうしたトップダウンの「文化の杜」構想とは連携しにくいと思われます。

そして「芸術文化の国家の顔」より「都民の憩いの場」を優先させていただきたいと思います。
上野の山は関東ローム層の堅固な丘で、関東大震災でも不忍池の水で延焼が止まり、山は20万人の避難地となり、戦災後も多くの罹災者が住み着きました。そういう防災面の重要性も忘れて欲しくない。

もしかするとオリンピックのパブリックビューイングを「イベント広場」でやるつもりかも。もしかすると秋元康などがAKBとか連れてきちゃうかも。そういう予想も経つのです。
かつて江戸幕府は寛永寺建設のために住みかを追われる狐のために五條天神を作って鎮魂しました。今回の文化庁や芸大にはそれほどの仁義もない。こんなことを進めれば、「平成ぽんぽこ合戦」が起きるでしょう。(平成こんこん合戦かな)

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