冬の薔薇

今はもう 営業しておられない まちなかの 寿司やさんの 店先にある 薔薇

すんすん すると

ふわり と 体の奥が 色づいて やわらぐよう

ここには 山梔子もあって

何故か 冬でも咲いていた

今年は咲いてなくて 薔薇だけ

通るたびに どちらかを すんすん 嗅いでしまう

うれしい寄り道のとこ

震災の時 どこのお店も 開けられない状態の時

どこよりも早く すけろく(海苔巻きと お稲荷さん)を つくって 破格の値段で 店の前で 売ってくれた

うわぁ 売ってくれてありがとうございますっ て 思わず 言ったっけな

「こっちこそ 買ってくれて ありがどなぃん 大変だけど がんばっぺね」て 朗らかに 手を振ってくださったんだ

あの日の あたたかさ おいしさ ありがたさに 繋いでいただいて 今生きてますよぅ

そんなこと 思い出しながら いつも 胸のうちで 深く お辞儀する 心持ち

数年前 ご主人 体調崩されて

やむなく 店仕舞いになったらしい

そんないきさつ さっき 父から聞いた

なんだか 切ない

どうしようもないのだけど…

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