昨日見た雲

昨日観た雲

なにかにたとえなくても

そのものそのものが

まごうことなきうつくしさなのだけれど

もういちど そのさまを 思い出す 寄る辺として

何かみたいに…と 手繰り寄せる比喩

よくふるった 粉を さらりと 一気に 放ったような…

乾かぬ 画用紙に 色おとしたような…

白濁した筆洗の水で 青薄墨色を 洗おうと 入れた すぐあとのような…

腹を割いて 素揚げした 川魚の はらすのような…

そんなことばが 浮かぶまもなく

形を変えて行く雲たち

もう あの瞬間の 色かたち手触りは

わたくしの胸のうちにしかないのだな

羅列した言葉をめくり

すこうしだけ 得意な気持ちになったりもする

誰の 得にもならぬものなれど…

コメントをどうぞ