『山の民俗誌』

巷に ことばが溢れていて

てっとりばやく うつくしげで あまいことばが 

電波にのって なだれこんだりもして

つい それで いいきもちに なったりすることも あるのだけれど

だんだんに 猜疑心が生まれたりもして

そんなに簡単に 生き方も 啓示も 

示されたくなどはないのだ

なにかを貼り付けて その気になって 生きていければ それはそれでいいのかもしれないけれど

もっと この足で 歩きたいのだよね

己の感触から 導きだしたいのだよね

そんな 生意気なことを 思って

あまり 活字を追わなくなって

でも まだまだ 何をどう導けばよいのかもわからずに

ぼんやり 森の あわいに 惑い居り

そんな朝
 
久しぶりに 本棚から 発掘した『山の民俗誌』(吉川弘文館 歴史文化ライブラリー 湯川洋司 著)の 冒頭文

あぁ そうだな そういうことだな もうすこしまた 惑うままに ゆくか…

そんなことを思う

ことばに迷い ことばに救われ また ことばをたどりて さがしにゆく

それは どこかにあるわけではないにしても

胸のうちから 日々の中から どこかはるかと繋がって

結んでゆくのだろう

微かな思いに 立て札をもらって

標を 見返りながら 

また ゆくのだ

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