庭石菖の色

にわせきしょう

玉っこ 蕾のところに 触れたら

薄墨に 赤紫流したような

おしるしがいくつか…

とどめておくことができぬ

すぐ消えてしまう 儚い色

いやまてよ

儚い なんて かなしげなものでなく

生きているからこそ

その一瞬に 目を止めたものにだけ見せてくれる

貴い色

とどめられなくてよいのだ

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