「おまもりみだぐつけでぇ」

「ねぇ 引き出しのとこに 指輪が入ってるはずなんだけど…」と 言い出した母

認識違いのなんにゃらかを 言い出すのか と すこぅし ドキリとしたけど

母が 還暦の時だったかに 父から プレゼントしてもらった 指輪のことでした

7年半前に 倒れたとき つけていて

救急車で運ばれたあと

身に付けているものを まるっとまとめて ビニール袋にいれて 返してもらった中にあった

あぁ あれね 引き出しじゃないとこにあるのよ と

出して 渡した

確か 何年か前も 出して はめてみて

どの指にもうまく入らなくなってしまってる と がっかりして

また仕舞い込んだのだった

「デイ・ケアで ほとんどの人 結婚指輪だの つけてんだよ おかさんも 御守りみだぐ つけでぎでぇ」と

自分も持ってるはずなのに ということ

御守り拠り所にしたい思いになったようだ

自分から こうしたい の ああしたい の 希望を あまり口にしなくなっていたもんだから

なんとなく うれしい

かつてしていた 左の薬指は 曲がったまんまで ちょいと ぷっくりしちゃってて とてもじゃないけど はめられない

感覚がなくて 動かない 指の方に するより

感覚のある方に なんとか してみようか と

右の小指に はめてみる

なんとか はまる

デイ・ケアの スタッフさんにも 指輪のこと 伝えつつ

気を付けたり 御守ってもらったりしてちょうだい と 思う

「おとさんどごさいって この指輪覚えでっか 御挨拶して刺激与えでみっかど思うがら 連れでって」と

自分から 父の傍に 連れていってとも言わなくなってたので

これまたうれしい

「おとさんおとさんこいづおぼえでっかぃん?私の 還暦ん時 作ってもらったった指輪だよ」と 父を揺さぶる

うろり と 目を開けて 母の手を握ったりもしたけど

覚えてはいないらしい

残念だけど

そんなことがあったのだよ の 話しには 頷いてた

いいんだ 覚えていようがいまいが

仲良し夫婦には かわりあるまい

いつもいつも顔見えてなくても

傍にいることは わかってるのだ

安心感という お薬が 2人には 効いてる

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