甘やかしまやかし

ちみっと 父の 機嫌が よろしくなかった
 
まぁ 寝不足もありましょう

夜 母が 寝ぼけたり なんだり と

いつも以上に 小刻みに 起こされてたもんね

だからといって 小刻みに 不機嫌言葉 ぶつけるように 言うのは よろしくないと 思うのですけんど

なんとも やり場のない思いの

はけ口 として 苛ついたこといってしまってる自分への 跳ね返るような 苛立ち もて余す思い

なんだか 痛いほど わかるもんで

なんでそんないいかたするんだよ…と 言いたくて 言えなくて

ああぁ と 口ごもる

挫けた気持ちになりかかり 

でも 被害者的でなく

自分のせいで そんな思いさせてしまってる という 

加害者的 思いになって 落ち込んでいるであろう 母

どうにか とりなそう…と 思うのに

ことばが 目まぐるしく めぐりめぐるぐるぐるして 何も出てこなくなり

目眩しそうな不甲斐ないわたくし…

んで 前日に いただいた ふわふわシフォンケーキ

二種類の 一個ずつあったから

特別に ちちははに 半分こにして 二種類とも 楽しんでもらう…まぁ 上んとこ わたくしが一口いただいたけどな…と

大袈裟な口ぶりで 恭しく 掲げるように 出した

朝ご飯食べんとす…て とこなのに「んまそうだね 今食べたい」と 手をのばす母

「ご飯だっつうのに 我慢もできねぇのか」と また 棘のある言い方をする父

父とて たまたま 納豆混ぜ始まったから 手を出さなかっただけで 朝 お菓子目撃したら すぐさま 食うだろうによ…と 棘棘ボール 投げつけようかと 思いつつも 踏みとどまり

まぁ 食前でも食後でも そんなに重たくない ふわふわだから 食いたいときに 食うのがよいさ と のんきなふりして 言ってみる

「んまかった~♪もう一個は あとの楽しみにする」と 母

きっと 母も すべての思いを 口にはしていない

でも 美味しさに 切り替えられ 撫でられてもいるようで

さっきより 哀しそうな色は うすれた

「なんだまったく」と 言いながらも

「一番 んまいとこ おまえ 食ったんだべ」なんて わたくしに 冗談めかして 言う父

きっと もう 大丈夫だ

引っ込みつかなくなったような 思い

甘いものに 転がされ

うやむや

それもいいよね

仕事終わったら 甘いものを 買って帰ろうかな なんて 思った

甘やかしまやかし

でも 助けられる

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