おぼれる

ふと 向けられた その眼差しに

息せききって 言葉を継ぐ

継げば継ぐほど 

言いたいことは こんなことじゃない…と 

もどかしくなるのに

とめられないまま

言いたいことも言えてない思いのまま

言葉尽きて

もう何も 漏れ出ぬというのに

ことばのかたちで 喘く

砂浜に 打ち上げられた 魚のような 有り様の 口元

物言わずにいた あなたが

「わかってるよ」なんて言って

何も言えてないのに 何がわかってるのさと

悪態をつこうとさえ 思ったはずなのに

ふ と 笑ってくれた その瞬間

あしもとから 

からだまるごと

こころまるごと

波にさらわれるように

あなたの中へ 流れ込む

そうだ 

なにかをいいたかったのではないのだ

あなたという 海で 泳ぎたかったのだ

あなたという水を得た 魚だ

わたくし

溺れる

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