吐き出し

昨日

どうにも 泡立つ思いが 毒ばかりで

人にも 吐きかけ

美しげなことをいうことも

誰かがなにかに 心酔することさえ

掃き捨てたくなり

己も その毒気にやられて

へとへと

それでも ぶすぶす と 汚泥染みだしてきそうで

人から離れ

這うように 外へ出た

木を見にいく

いつも目指すところでもなく

なんてことなく 空き地に立つ 枝下桜

蕾はあれど 膨らみもせず

樹皮 ごつごつとしていて

所々 苔やら 黴に 蝕まれて

病の 部位を 剪定されたか

そこから 剥き出しの 肌色

それなりに構われてもいるようで

よかったね と 思う

その 思う気持ちに ふと 固まりかかったような 胸のうちの 汚泥が ぽろりと 剥がれる

たぶん 排卵期なのだろう

汚泥を 吐き出し

ちくちくのとげとげを 外へ向け

それに 疲れ果ててしまうような有り様

毒を出して 中身の澄みを 得ようとしているか?

産み出すものは せめて 美しくあれ と…?

そんなことで 得られないのもわかっている

備えたとて 応えられずにいることもわかっている

そんな ぐなぐなした巡りと 遡上と 反逆に

己のからだってやつぁあ…と

呆れたり 不憫に思ったり 申し訳なく思ったり 愛しかったり…

毒も ごつごつも ちくちくも

守りなのだよね

咲かぬまでも咲かそうとしているのだよね

そんな こんな 諦念にも似た 弛緩が やっと また よみがえって

ごつごつの 樹皮を

思いの表皮を

撫でた

かえろう

コメントをどうぞ