
斜めから
不意に 射してきた
光と 風と 冷たさと 美しさと に
息を呑んだ
肺ではないところから
身体中に
透明の
白の
零下の
清々しさが
満ちた
薄汚れた ことばは 射ぬかれるままに
そこで 息絶えて
黙り込む わたくしは
まるで
そこで
澄んだ 水の
立ち上る湯気の一滴のようでもあった
しかし
毒を 澱を 血を
吐き続ける日々が
己の 泥水よりも 薄汚れた 身を 心を
思い知らせる
透明さを
美しさを
あの 木の枝に
滴にして
置いてきてしまったのか?
否
それでも わたくしは 水なのだ
毒を
澱を
血を
思いを
抱えた 水なのだ
光に 風に 冷たさに 人の思いに うたれ 射ぬかれ
ことばを 吐くことで
いつか 透明になることを
栓なく焦がれる
紛れもない 水なのだ
汚れも 曇りも 術なしも
水が 抱えるものならば
思いを 掬い
沈ませ
世の
人の
水と 交わり わかれながら
ゆこう
それが 今 浮かび上がる
ひとつの
救いの 思い
みずをめぐるおもい
[…] 水をめぐる思い […]