なだめられなくても 踏み出すことはできるのだ

泣きたいようなことが いくつかあって

どうしようもないことと

なんとかできなくもなさそうなことと

ほっとけば なんてこともなくなりそうなことと

…それぞれ 繋がりなんてないのに

ひとつが浮かび上がり

別のひとつを引き寄せ

またひとつと 絡みあい

ああぁ かなしいことばかり と

大きな 塊になって 呑み込もうとしてくるのだ

そうはいくか

呑み込まれる前に そいつを ばらばらにしてやるんだ

化け物みたいな塊

それぞれ ひとつひとつ

外皮 引き剥がしてゆくと

真ん中に

ふるふる 震える 小さな 種

その核は

愛だったりする

とはいえ

訳知ったようなこと 言っても

うっかりすると

守りきれなかった思いを

また 庇おうとして

涙を帯びながら 皮膜を 厚くしてゆこうとするのだ

それもいいだろう

見送ったり

呑まれたり

避けかわしたりして

じたばたどたばたとゆくのさ

とりあえず 今は 杏仁豆腐でも作ろう

なだめられなくても

踏み出すことはできるのだ

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