魚浴 さよりにて

母 と あんちゃ

さほど 魚が好きではない

ましてや 生など!…てな ノリなもんで

父が 口から食べられなくなってから

魚率が 低くなっておる 森家の 食卓

それでも どうにか 二人が 嫌がらずに 食べてくれるよう

生臭さが 感じられないような形にして 出すけど

そんなんばかりだと

わたくしのなかで

魚食いたい欲が 日に日に つのる

時折 自分だけ別メニュー てことにして やってみる

本日昼は 自分一人なもんで

思う存分 魚まみれ

さよりを おろして 握ってみた

握り と いうには あまりに ぐぢゃぢゃで

無様だけど

やれたことに 満ち足りる

ご飯はもっと柔らかくてもいいかな

酢は キツ目にしてもいいな

いろんな魚で 試してみたいな

…でも 握りは やめといた方がいいかな

一人で 喋ったり 鼻唄歌ったりしながら 楽しんでたら

昼の 父の 経管白湯 装着するの 遅くなっちまった

かなり 魚のにおい 染み付いた 指で やりましたとも

父なんも言わず

魚のおろしかた 父に教えてもらいたりなかったな

是非 もっと復活して 指南してもらいたいな

魚くさくてごめんね~ と 声かけたら

それまで ぼやん うとうとしてた目が

きょろり と 見開かれた

期待しすぎず 諦めず

そんなことも 改めて思う

コメントをどうぞ