はらぺこわらすこ

今日は 母 デイサービスおでかけ

温度の上がらぬ 昼下がり

茶の間 炬燵で 昼寝の 父

あんちゃも 自室が 寒くてたまらん と

珍しく 炬燵にあたりにきた

とりとめもないこと 時折 ぽつり ぽつりと 喋ってたら

父 むくりと 起き上がり「なんか 食うものねえのが?」と きたもんだ

午前中に 羊羹食ったよね 「ああ 食った」

しかも あんちゃの お散歩土産の 小田嶋のキャラメルケーキも 食ったよね 「あぁ もう食った」

最後の残り て わたくし食べようと 出した 蜂蜜太郎も 食ったよね 「ちょこっとしかねがったべ あんなん」

いや だから そんだけいろいろ食ったのに… 「俺は 食っつまったもんの話でねくて 今食べられるもんあっかどうがの話してんだ」

わかるけど そんだけいろいろ食ったのに まだなんか食うつってんのかって 話だよ 「んだ おやつっ!」

もんのすごく 真顔の父

ムッとしそうになりつつ なんだか 可笑しくて たまらん

は ら ぺ こ わ ら す こ!

小声で呟きながら つい 買い置きの 煎餅など 出してしまった

さては さっき 用足しのついでに 煎餅も買ってきたのを ちゃんと チェックしとったな

「あっこったら 親ば しずんねで すぐ 出せばいんだ」と やはり 真面目に 言っとる

あんちゃは 笑いを噛み殺すような表情で あっしには 関わりのねぇことでござんす的に 携えていた 文庫本に 目を落とした

からだのこととか いろいろ 思っているのだけど

なんか おいしそうに よろこんで 食べてるしな

いちいち ちみちみ 言わん方がいいのかな とか 反省もしつつ

おやつ配給制復活を 思いめぐらせる

はらぺこわらすこへりくづこりくづ

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