甘い記憶

なんてことない
かざりたてたわけでもないのに
そこに のっかる 何かが
淡く やさしく 甘やかで
そっと 吸った 躑躅の花の蜜のようで
ふぅわりと 包む 真綿のようで
でも 手をのばすと
儚く 消える
あたりに 残った 甘い 余韻は
何かの音ではなく
私の心の奥が 震えた音
遠い日の 切なさが 呼び覚ました 舌の記憶

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