甘い夢などみない

開拓や 征服を 歩んできた その足は
時に 必要よりも 少しだけ多く 力を込めている
揺さぶりや 矢面に 立つ身は
固めた鎧の下に 思いもかけぬ 柔やわな 肌と 心を隠して
称賛を 投げかけてくれるものばかり 抱こうとして
いつしかその弱さを 忘れようとする
忘れただけで そこにあることさえ 忘れてゆくのだ

強さに憧れて 集うものは
どこかで その弱さの 甘い匂いを 嗅ぎ分けて
私が守らねば…と 腕を広げる
強さを この手に 抱く昂揚に うっとりと身を任せて
一枚上手の器を
憧れの眼差しで ひた隠す
なんと甘く 幸せな 相関図!

揺さぶりに 揺らぐものなど 崩れてしまえ と
残酷な思いを 呑み込んで 本を閉じる

さぁ 自分の うつつに 帰ろう

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