渡りてゆかん

渡りの鳥は

今にも 落ちそうな 重たげな 腹を抱えて

よくも 飛び続け

たどり着いたものだ

そう感じ入ったのち

はた と気づく

しかし ごらんよ

あの 渡りも

この 渡りも

みな 軽やかなる 羽ばたきとは 縁遠く

むしろ 身重なればこそ の 渡りではないか…と

ならば この わたくしの

今にも 落ちそうな 重たげな心持ちは

遠いところへ目指す証しであろう

胸を張り

渡りてゆかん この心

見えない羽根を 思う

冬の午後

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