ちゃんとした黒い靴を持っていないまま

真っ黒な 足もと

お通夜へ

準備しはじめて すぐ

靴がなくて 慌てる

そういえば 数ヵ月前も ともっちょ おとうちゃんの お通夜に行くときも

同じように慌てたのだったな

あの時は20年前に 買った ペタペタの 中国ビーズ靴 急いで履いて

出掛けに こぷっ!と香ばしい音がして

後でみたら 底が割れて取れてた

道理で裸足みたいな 足裏感触だったわけだ

それなのに その後 靴を買っておかなかったのは

不祝儀 困らぬように なんて まるで 誰かの訃報を 待つみたいではないか と

意地になったのだった

そして やはり 今日 慌てた次第

黒い靴は 実は 結構たくさん持っている

しかし ふざけた 金の鈴が散りばめられている スペインのブーツとか

高いヒールのものやら(今や そんなもん 履いて歩けまい)

30年前 愛用しすぎて ぼろになってるものやら

今や 履けないのに とっとくな て はなしだが…

奇跡的に 一足 履いて歩けそうなもの発見

よしこれで!と 履いてみたあと

黒タイツが 真っ白になって 魂消る

…黴であった

急いで ウェットティシューで ふいて なんとかした

まったくなんてこったい なんて でがけに 笑ったけど

それで かなしくなくなったわけでもなかった

当たり前だ

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