匂いをさがせ

今日の父

目覚めていた

やりとりも ことばがうまく聞き取れず

ちみっと ちぐはぐにしちゃってるかな?と 申し訳なく思ったものの

匂い当てクイズ~♪なんて

ふざけたこといったら

はじめのうち 怪訝そうな 顔してたものの

珈琲入りの ステンレスボトルを 鼻に近づけたり

あれこれやっていくうちに

口をすぼめて 匂いを嗅ごうと しはじめた

おおぉ♪

通じている!

珈琲は 湯気の温かさは わかったようだけど

匂いは わからなそうだった

確かに

淹れてる時とは 匂いが 違ってしまってるかもね

思いの外 仄か

第二問目は 刺激的かな?と 柚子

鼻のとこで 皮に爪を立てたり 擦ったりしたけど

困惑気味に 眉をひそめた

うむむ あまり 心地よくないかな?

形が見えないものの 匂いだけ嗅ぐって

不安感もあるかもね

ごめんごめん 柚子だよ と 見せたけど

首をかしげた

第三問目は パン

袋を 近づけたとき 一番 表情が やわらいだ

おぉ 美味しそうとか 思った?と 問いかけると

なんかわからないけどいい感じ…てな 表情

改めて パンだよ んまそうな匂いってわかる?と 言ったら

ものすごく 鼻から吸い込んだのち

噎せたりして

あわわわわ

すぐ 落ち着いたけど

あまり 無理は禁物かな

でも もすこし わかりやすい 匂いのほうが いいかな?

スパイシーな カレーとか

しょうが焼きみたいなかんじ?

父には 聴こえないか と ひとり ぶつぶついってたら

ふいに

「においを さがせ」と 父が呟いた

えっ?

もっと分かりやすくて んまそうな匂いってこと?と言ってみたら

かすかに 頷いた

お互いに 言ってること

すれ違っているのかもしれない

でも なんとなく 不快ではなさそうなのは わかった

うん 探してくる

父が うれしくなっちゃうような

元気にまた何か食べたくなるような 匂い

探してくるね

そういって わたくしのほうが なんだか すこぅし 元気になったりした

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