「…そうしてればいい…」

未明 あたりまで

むぅ やら

ううぅ なんて 唸って よく眠れずにいた 父

お出掛け寸前に うとうと ねむねむ してしまい

介護タクシーさん 来てくださったときには

すやすや

声かけても 薄目も開けず

まぁ それでも どうにか 車椅子に 移乗してもらって ゆけばよいか と 思ってたら

「ふじおさん んでは たんがぎ(抱え上げる 運びあげる …てな意味合い)ますねぇ」と 言ったとたんに

「いででででぇ!」と 大声

痛くないようにゆっくりしてもらうから大丈夫だよ~と 声かけて 落ち着いてもらおうとしたら

あまり 大丈夫大丈夫言ったのがよくなかったか

「あんだが大丈夫っつったっておれは大丈夫でねぇんだっ!」と 叫んだ

さっきまで無反応だったのに この 筋のとおった なんとももっともなはなしをっ♪と

愉快な気持ちになって 笑いたくなってしまった

すまぬ父

大騒ぎの末に

やっとこ 移乗完了

その後は 黙りこんで 全くもって 静かになっちまい

呼び掛けにも 頷いてんのかなんだか?てな 鳴り潜めっぷり

帰宅後 また 唸りはじめ

どっかいたいの?気分悪い?わたくしにできることある?どうしたらいい?と 訊きながら

ベッド枠に しがみついて 冷たくなった手を 握って さすってたら

「…そうしてればいい…」と ぼそりといった

言葉が探せなくなってる てなこともいってたけど

浮かぶものはあるみたいだし

こちらも さぐりさぐり いこうと思う

ときに ちぐはぐで

ときに 明快で

ときに 暖簾に腕押しで

…でも とにかく 父と話せてるのだ てことが

うれしい

ありがとう

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